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印刷業界専門紙「印刷タイムス」に掲載されました

印刷業界専門紙「印刷タイムス」に掲載されました

印刷業界専門紙「印刷タイムス」2023年01月30日発行分に弊社の記事が掲載されましたのでご紹介させていただきます。是非ご覧ください。


コンフォーム
「ITに詳しくない中小企業経営者のための初心者向けDXセミナー」で梅崎校長が講演

 昨年12月6日に開催された株式会社コンフォーム主催によるセミナーでは、「ITに詳しくない中小企業経営者のための初心者向けDXセミナー」と題してDX学校校長の梅崎健理氏(株式会社ディグナ代表取締役)が講演した。本紙ではその内容をレポートする。

多くのシステムが陳腐化に

 DX学校を運営しております株式会社ディグナの梅崎健理と申します。ディグナという会社は、生まれつきデジタル環境のある世代のことを「デジタルネイティブ」と言いますが、その言葉をもじって私が高校2年生の時に設立した会社です。
 私は4歳からパソコンを触り、インターネットのサービスが大好きで、それらを大きな会社にどのように活用いただくかを事業としてきましたが、コロナをきっかけに全ての会社、全ての世代がデジタル化していかなければいけなくなり、そこを解決したいと思ってDX学校を始めました。
 今回のセミナーでは、「デジタル化とは何か」「DXとは何か」の2つの違いを知ってほしいと思っています。はじめに「DXとは何か」という話をします。
 国が実施した中小企業を対象とした「DXは理解していますか」というアンケート調査の結果によると、7・8%の人しか「理解している」と答えておらず、「ある程度は理解している」という人も3割ほどで、多くの人が「理解していない」という答えが2022年の現状です。
 また、中小企業1000社に向けて実施したアンケート調査で、248社は「最近DXに取り組んでいる」と回答しており、その248社を対象に「何に取り組んでいるか」と聞くと、1位はホームページの作成、2位は営業活動・会議のオンライン化、3位は顧客データの一元管理でした。残念ながらこの内容ではDXに取り組んでいることになりません。
 実は、「DX」という言葉は日本で作られた単語になります。元になっているデジタルトランスフォーメーションという単語は、20年ほど前にスウェーデンの学者によって提唱されたもので、トランスフォーメーションのトランスをXと訳したのが日本の経済産業省です。
 2018年に「DXレポート〜ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開」を経済産業省が発表し、そこからはやり言葉になりました。
 現在、日本の企業で導入されている多くのITシステムは陳腐化しており、2025年には世界の諸国に太刀打ちできなくなり、大きな損失が日本に出ると書かれているのが「2025年の崖」です。
 最初は大企業の話でしたが、今ではDXレポート2や3ができて中小企業向けの話になっています。「1980年代から90年代に販売されたシステムは顧客データがつながらないので、このままで良いのか」ということになっています。

技術の進歩は第3の波が到来

 トランスフォーメーションとは元の形が跡形もなくなり新しい形に変わることを意味します。
 街の中華料理屋さんに例えると、まずは最初のステップでは、出前の注文を電話で受けていたのをやめ、宅配サービスと契約してタブレットで注文を受ける。アナログからデジタル化への最初のステップがデジタイゼーションです。
 次のステップは、今までは注文を紙に書いて、その紙を厨房に持っていきましたが、端末に注文を入れ、その情報が厨房に飛んでいく。これがステップ2です。ここまでがデジタルシフトと言われています。
 次のステップが本当の意味のDXです。もはやビジネス自体が変化する。絵空事だと思われるかもしれませんが、なぜDXしなければならないのか、一緒に考えていきたいと思います。
 今回は2つの変化について見ていきます。ひとつ目は人々の気持ちの変化、働くことに関する考え方を例に見ていきます。
 20世紀には、「24時間戦えますか」と訴える栄養ドリンクのCMがありました。今どきこんなことを会社が従業員に言えば、ブラック企業だと言われ、労働基準監督署に訴えられ、SNSで炎上してしまいます。
 今はワークライフバランスの時代です。仕事は人生の一部にしか過ぎません。「効率良く成果を出して自分らしく生きていく」という時代になっています。また、仕事は人生の一部でしかなく、転職も恥ずかしいことではなく、もはや男子一生の仕事という言葉も昔のものになってしまいました。
 会社側や経営者は、従業員がずっと一緒に働いてくれると思ってはいけない時代になりました。時代の変化に対応するためには、人が変わっても継続できなければならない時代になったということです。
 もうひとつの時代の変化は技術の進歩です。第1波はデジタルシフト・デジタル化であり、すでに向こうから波が押し寄せており、主力製品やサービスがデジタル化しやすい業種から起こっています。残念ながら紙の部数は減少しています。CDショップや書店も減っています。土日に郵便物を配達してくれなくなり、レターパックで送る人も増えました。第1波はすでに来ています。
 今まさに押し寄せてきているのが第2波です。政府や行政からハンコレス、働き方改革と言われ、今までのように書類に手で記入して印鑑を押すのではなく、オンラインになってきています。取引先からも受発注はデジタルでと言われる。これが今まさに訪れている第2波です。
 これから来る第3波は、向こうから押し寄せてくる波ではなく、渦と言われており、自分たちで起こさなければなりません。
 ビジネスモデル自体が変化します。モノという形のあるものの販売がサービス化されたり、扱う製品自体がこの世から消えてしまったり、生産者と消費者が直接結びついて売り買いすることにより、これまでの卸売り・小売りといった概念がなくなり、言語の壁もなくなるという波を起こしていかなければなりません。
 例えば本やCDが売れなくなりました。若者が減って単身者用アパートの入居者が減り、銭湯に人が来なくなりました。皆さんが経営者だったらどうされますか。
 今のビジネスが当面安泰であるならば、現業を粛々と進めることになると思います。「変化せずに今のままで良いのか」「効率化を進めれば売上げや利益が上がるのか」を考えると思います。または「現業をベースに新しいビジネスを始めるか」といった選択肢もあると思います。
 時代の変化によって業界が斜陽・衰退と言われている中でも、デジタル化を進めた結果、業界全体が活性化した例もあります。
 コミックスやマンガは、右肩下がりになってきましたが、2014年に出た電子コミックが伸びたことで紙の減少を補う形となり、元の売上げを超えるようになりました。このほかにも、今はCDを買う人はいませんが、ストリーミングサービスが出たことによって以前の売上げを超えました。

売るもの・方法・対象が変わる

 新しいビジネスを始めるにあたり、3つ考え方があります。いきなりビジネスを変えると言われてもイメージしづらいので、大昔の古の例を挙げます。ひとつ目は売るものを変えるという例です。
 例えば昔は薪や木炭を売っていましたが、時代の変化で電気やガスに置き換わりました。その時に経営者や会社はガソリンスタンドやプロパンガスの販売に商売替えをしたはずです。
 最近の例ですが、核家族化や共働きが一般化し、丸々一本の魚が売れなくなった時にスーパーの中に厨房を設け、そこで魚を切り身にしてパック販売する。売るものを変える。こういったことが過去にありました。ひとつ目は売るものを変えるという考え方です。
 2つ目は売り方を変えるということです。世界的に有名なスポーツ用品メーカーの製品は、昔は特約店でしか買えませんでしたが、大型の商業施設でも買えるようになり、オンラインストアも公開しました。
 以前の常識では、特約店との契約があり、直販のオンラインストアを始めることはご法度でしたが、それをやりました。今後はオンラインと直営店での販売にシフトし、中間業者の取り分を自社のものにするという売り方に変えています。
 3つ目は売る対象を変える。つまり相手を変えるということです。「今までプロ相手の卸売りをしていたものを素人相手の小売りをする」「対面販売からオンライン販売」「日本だけを相手にするのではなく世界を相手にする」といったように、同じ商材であっても売り先を変えるとビジネスの未来が開けるようになります。
 いつかは皆さんの会社も変革しなければならない時期が来ます。取り扱い商材の見直しなのか、販売方法の見直しなのか、売り先の見直しなのか。さまざまだと思いますが、共通しているのは今のビジネスが順調なうちに準備を始めなければならないということです。

経営者はビジョンを明確に

 トランスフォーメーションを行ううえで必要なことがふたつあります。ひとつ目は経営者のリーダーシップであり、ふたつ目は従業員を巻き込むことです。経営者が何年後にどのようなビジネスをやりたいか、明確な意思を持つことが必要になります。
 ふたつ目は従業員を巻き込むことです。その中で中心人物となる従業員がDXを実行するリーダーになります。従業員を巻き込み、頑張った従業員が給料や昇進で得をするように、社内の評価を変えていかなければなりません。
 DXを展開するうえで必要なことは定義を設定することであり、まず認識を育むということです。「今のビジネスを続けていくとダメになるかもしれないから、変わらなければならない」。これを全社で認識することです。
 出発点を知ることも重要です。今はどこにいるかを全員で共有する。そして、ビジョンを作成し、経営陣の目線を合わせる。社長はやりたがっているのにキーパーソンが反対ではいけません。その次は投資することであり、ビジョンを行動に落とし込むことです。社長のイメージを具現化しなければ夢で終わってしまいます。
 さらに、管理体制を構築することが最重要になります。従来とは違う、会社のヒト・モノ・カネの管理が必要になってきます。人の管理の部分では、今までとは違う評価制度を採用しなければいけません。すぐには売上げを出さなくても、この先DXに取り組む人材が評価される仕組みを作らないと人が入って来ません。
 モノの管理については、昔は儲かっていると銀行が「自社ビルを建てましょう」「倉庫も自社で持ちましょう」と言っていましたが、今の時代は潰れない会社は100%変動費の会社です。今まではサーバーもシステムも自分たちでしていたかもしれませんが、モノの管理方法が変わってきます。お金の部分は、新しいことに取り組もうとしますが古参の経理担当者、取締役が不安になって投資をやめるといったところに気を付けながら変革に投資をしていく。これが投資のステップ2です。
 そして組織を動かす。目指す姿を社員に伝え、巻き込む権利を獲得し、従業員に利が出るようにして、新しい行動原則を設定して文化を作る。ミッション・ビジョン・バリューが従来とは変わり、絵空事ではなくて文化になります。
 頑張った人へのインセンティブや報酬設計を整合させ、最終的には測定・監視して繰り返す。すべて数値化できる形で測定して監視する。その後はPDCAです。何となく頑張っているという定性的なものではなく、定量で評価することが重要になります。

現業の効率化と新しいビジネスを

 DXを推進していくにはどのようにすれば良いか、最後にまとめさせていただきます。
 DXの推進は3つのステップで実行していければ良いと思います。ひとつ目は今のビジネスを効率化して売上げ・利益を最大化し、社内に余裕を作ることです。
 ITを社内に導入して人員削減と思う経営者もいますが、絶対にうまくいきません。クビを切られるかもしれないのに、ITを導入して「ITのことを覚えろ」と言っても社員は協力してくれません。
 あくまで売上げ・利益を最大化する、効率化を図る、余裕を作る、リソースを上げるがステップ1です。社内にできた余裕でDXの準備を行う。いきなり「明日からDXをしよう」と言っても、すぐにはできません。
 そのためには人材も必要であり、知見や道具も必要になります。DXのために必要な準備期間や費用を見積り、できた余裕を投入していく。準備が整ったら実行に入ることが重要になります。
 経営者は数年後にはどうありたいかを考えなければいけません。それを実行するためには準備も必要になります。現業を効率化し、新しいビジネスを行うことがDXを実現することになります。
 「DXはまだ早い」「関係ない」と思ったとしても、その手前のデジタル化、現業の効率化は必要であり、売上げ・利益を伸ばさなければいけません。取引先にも求められ、国にも言われ、インボイス制度も始まります。そういった意味ではデジタルシフト、デジタル化の部分は考えていかなければなりません。

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